プレスリリース 2017年6月1日

第17回ニッポン・コネクション授賞式
女性監督による2作品と、社会批判のドラマが今年の授賞作品に

6日間にわたり約100本の日本の長編・短編映画を上映した第17回日本映画祭ニッポン・コネクションが、2017年5月28日についに幕を閉じました。期間中、映画祭のメイン会場、アーティストハウス・ムゾーン塔、ナクソスホール内ヴィリー・プラムル劇場や、その他6カ所の会場に足を運んだ観客数は約16,500人にのぼりました。映画上映やコンサート、ワークショップといった多くのプログラムが満員御礼となりました。その大きな理由として、自ら作品を紹介するために、日本をはじめ世界各地から来場いただいた映画監督、俳優、プロデューサー、アーティストといった100名以上のゲストの存在があげられるでしょう。

映画祭の華々しいラストを飾ったのは、アーティストハウス・ムゾーン塔で行われた授賞式です。授賞式の後には、映画祭の締めくくりとしてニッポン名誉賞受賞者、役所広司氏が主演を務める、原田眞人監督の歴史ドラマ『日本のいちばん長い日』が上映され、多くの観客を魅了しました。会場は満席となりました。

観客の投票で決まるニッポン・シネマ賞は西川美和監督の『永い言い訳』に授与されました。脚本も自ら担当した西川監督は、非常に精緻に感情の機微をとらえ、かつ是非の判断を下すことなく、鋭いユーモアを交えて、自分勝手で傲慢な男の魂の再生を描きました。今年で13回目を迎えるこの賞は、12年前よりフランクフルト・メッツラー銀行の協賛により、受賞者には2000ユーロの賞金が授与されます。

ニッポン・ヴィジョンズ賞に輝いたのは今村彩子監督の『スタートライン』です。このドキュメンタリーのようなロードムービーでは、生まれつき耳の聞こえない監督が、新しい土地と人に出会うだけでなく、何よりも自分自身に出会う過程が描かれています。フランクフルトの日本文化言語センターの協賛により、受賞者には1000ユーロの賞金が授与されます。

ニッポン・ヴィジョンズ審査員賞には、渡辺紘文監督の『プールサイドマン』が選ばれました。この作品は、長い催眠的ショットを含む美しい白黒映像を通して、ストイックで孤独な主人公の内面を映し出しています。受賞作品は3人の審査員、山下敦弘監督(『ぼくのおじさん』『オーバー・フェンス』)、坂野ゆか(川喜多記念映画文化財団、東京) 及びバスティアン・メルソン(ヴズール国際アジア映画祭)により選ばれました。 選考理由として、現代の日本社会の暗部を映し出しつつも、普遍的な物語を描いた、という点が挙げられました。不気味な魅力で観客を釘付けにするこの受賞作は、ミニマムな構成でありながら、壮大な世界観を持つ作品です。 今回で8回目となるこの賞は、東京の日本映像翻訳アカデミー(JVTA)より、次回作の「字幕翻訳」が副賞として贈呈されます。

ニッポン・ヴィジョンズ部門では、更に春本雄二郎監督の『かぞくへ』が、審査員によりスペシャル・メンションに選ばれました。この作品は非常に繊細に書かれた脚本と、3人の主演俳優達の素晴らしい演技が際立っています。審査員から、春本雄二郎監督に、今後の映画制作に期待を込めて激励が送られました。

授賞式の最後を飾ったのは、俳優役所広司氏へのニッポン名誉賞の授与です。日本映画に対する多大な功績を収めた人物を表彰するニッポン名誉賞の授与は今年で3回目となり、今年は日本航空株式会社(JAL)の協賛を受けています。授賞式では役所広司氏自ら登壇いただき、同映画祭による日本映画への貢献に対して、感謝の言葉を述べられました。

日本映画祭ニッポン・コネクションは、来年で18回目の開催となり、既に日程も決まっています。2018年5月29日から6月3日の間、アーティストハウス・ムゾーン塔、ナクソスホール内ヴィリー・プラムル劇場が、再び日本の映画文化の中心となります。

主催者

日本映画祭「ニッポン・コネクション」は約70人のボランティアチームからなる公益団体「ニッポン・コネクション」により運営されています。またフランクフルト市長ペーター・フェルトマン、並びに神山武在フランクフルト日本総領事にご後援いただいております。

ニッポン・コネクションは、紛争・災害地域における医療援助や、被虐待児、社会的弱者や難民に対する支援を行うBKB Charityをサポートしています。www.bkb-charity.de